入管システム導入巡り疑惑 国が入札指針に反し発注か

 来日外国人らから指紋を採取する入管難民法「改正」が今国会で審議されているなか、新入国管理システムの業者選定をめぐって、法務省がシステム開発の「支援」者と「実施」者の分離を義務づけた政府指針に反して、単一の外資系企業への委託を実質的に進めていることが分かった。

 法務省は現在、法改正に伴い出入国管理システム全体を生体情報を取り込んだ新システムに移行させようとしているが、この新規事業の受託が同様のシステムをアメリカ政府に納入したアクセンチュア社(本社・バミューダ籍)に決まっているのではないかとの疑問を、4月21日の衆院法務委員会で保坂展人衆議院議員(社民党)が追及した。

 法務省は2004年、アクセンチュア社にシステム刷新の可能性の調査を約6000万円で、翌05年、同社にシステム全体を見直す「最適化計画」を約1億円で、いずれも随意契約で委託している。一方で同社は、IC旅券など生体認証を用いた次世代の出入国審査システムに関する実証実験などの事業を昨年、わずか10万円で落札。つまりアクセンチュア社は新システム開発をめぐる「支援」をこれまで着々と受注している。

 業務・システムの発注をめぐっては、業者間の癒着を避けるため新システム開発の「支援」者と「実施」者の分離が政府指針として要求されている。実際、法務委での審議中、三浦正晴入管局長は保坂議員への答弁で、「実施」は別事業者が行なうと述べている。

 しかし、本誌の取材に対してアクセンチュア社広報部は、「新システム開発の支援だけでなく『実施』業者になることを目指して現在努力中」と回答を寄せた。

 アクセンチュア社は一昨年、アメリカの出入国管理システムを最大で100億ドル(約1・1兆円)で受注、生体認証技術を用いたシステムの設計、開発、プロジェクト管理を一貫して受注している。生体認証技術のある富士通とも業務提携中の企業だ。日本の新入国管理システムの「実施」の事業規模が、アクセンチュア社の「支援」事業の比でないことだけは確かだ。法務省は「実施事業者入札という未来の話には答えられない」としている。

(岡崎智・ライター)