チャイ: レシピと歴史

今では道端で知人と会った時、「チャイ飲んだ?」が「ナマステ」に代わる挨拶用語として使われる程ネパールの人びとの間で親しまれているチャイ。今回は、このチャイの作り方と歴史を紹介します。

ネパールの食文化・食生活は、宗教やカースト、民族、住む地域などによって様々ですが、チャイだけは都市も田舎も、カーストも、貧富の区別もなくネパールを一くくりできる味のようです。

チャイの作り方 (2人分・調理時間4分)

材料

  • 水・・・カップ1
  • 牛乳・・・カップ1
  • チャイの葉(ブロークンまたはCTC (粉状に加工された茶葉)が良い)・・・小さじ3
  • 砂糖・・・大さじ1
  • しょうが・・・1.5cm片(すりつぶしておく)
  • ティーマサラ・・・小さじ0.5

作り方

  1. 鍋に水を入れ、沸騰させる。
  2. 1にチャイの葉を入れ、全体が葉の茶色にほんのり染まるまで少し待つ(10秒くらい)。
  3. 牛乳と砂糖を入れる。
  4. 再び沸騰する前にしょうがを入れ、沸騰しかけたら火を止める。
  5. ティーマサラを全体にふりかける。
  6. お玉で鍋からすくって、茶漉しでつぎわける。
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チャイの始まり~紅茶「宣伝キャンペーン」~

紅茶が大好きで当時国民の90%が紅茶を飲んでいたというイギリスがインドを植民地支配していた1700年代、中国に変わる紅茶供給国としてインドに着目したことが「チャイ」の始まりです。

インドで大規模な茶のプランテーションを推し進め、紅茶の製造方法も知らなければ茶の摘み方も知らない貧しいインドの人びとをどんどんプランテーションへ送り込み、中国からは苗や種を密輸し、茶の製造に精通した中国人をこっそり引き抜いてインドへ連れて来ました。当時、紅茶など飲んだこともなかった一般の人びとに対して「宣伝キャンペーン」を行い、紅茶を飲むよう積極的に、というよりむしろ強制的に勧めました。

「宣伝キャンペーン」では、イギリスからインドへ派遣された「特別実物宣伝隊」が一軒一軒インド人の家庭を訪れ、紅茶の入れ方をデモンストレートし、必死に説得して紅茶を試飲させました。紅茶の配給とともに映画を上映し、紅茶に寄り付かない人びとの関心も引きました。工場には紅茶の屋台を設け、喉が渇けば屋台で紅茶を買わざるを得ないようにもしました。第二次世界大戦中は、戦場で戦うインド人部隊に紅茶を届け無償で配布しました。

このようなイギリスの対インド紅茶普及戦略活動の中で、インド人が砂糖をふんだんに使って香辛料を混ぜ、インド人の口に合う紅茶を作り上げました。これが「チャイ」です。チャイは、1930年代にはインド全土に広まり、今では国境を越えてネパールの人びとにもとても親しまれています。

チャイが宗教や民族、カーストに関係なく全てのインド、ネパール人から親しまれ、またどこの地域でもさほど違いがなく同じような味で同じような作り方で飲まれているのは、チャイが地域や民族の習慣、風土、文化と結びついて人びとの間に浸透したのではなく、「外国の飲み物」として外部から持ち込まれ、政策的に人びとの間に広められたことにあるのかもしれません。


参考文献:インドカレー伝,リジー・コリンガム
ネパール家庭料理入門 日常食ダル・バートから祭礼食マスゥ・マッツャまで,p.104;山田英美